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okicole 離島 伊江島

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村長さんの島じまん:民泊と六次産業の成功が光る 村民が主役の村づくり―伊江村長 島袋秀幸氏(4)

村長さんの島じまん:民泊と六次産業の成功が光る 村民が主役の村づくり―伊江村長 島袋秀幸氏(4)

沖縄県北部 本部港からフェリーで30分に位置する伊江島は、伊江島タッチューの愛称で親しまれる城山のシルエットが印象的な、人口4,600人の島。農業と漁業を基盤に、近年では民泊による修学旅行をはじめとする観光も島民生活を支える柱となっている。六次産業化や観光業の新たな展開を見据えた島づくりを、島袋村長に伺った。

村長プロフィール 

昭和27年生まれ。琉球大学卒業後、25歳で村役場入りし、総務課長、副村長などを歴任。2017年4月、44年ぶりの村長選で2期目の当選を果たす。「一番の自慢は、やはりみなさんに親しまれている伊江島タッチューの島影と、てっぺんからの絶景です」。 

 



 

Part4 人口増か現状維持か、村民が主役の村づくり 

 

サトウキビと在来種小麦を六次産業化 

Part3で紹介した島らっきょうとピーナッツ、肉牛、アジアン野菜。伊江島には、一次産業とをベースにした六次産業の新規事業がこれ以外に2つある。ひとつはラム酒「イエラムサンタマリア」。もうひとつが、株式会社いえじま家族が展開する「伊江島小麦」だ。 

伊江村

伊江村

 

2011年にゼロスタートした特産品「イエラムサンタマリア」 

イエラムサンタマリアは、島さとうきびを原料に、株式会社伊江島物産センター伊江島蒸留所でつくられる国産ラム酒のオリジナルブランド。バイオエタノールの試験製造のために建てられた設備を再活用し、2011年7月に発売された。常務取締役の知念寿人さんは、伊江島出身のUターン組。沖縄市の泡盛酒造所で働いていたが、島に戻ろうとした矢先に、新聞記事で伊江島での酒類製造の計画があるとの話を知り、伊江村へ問い合わせたという。「お酒づくりがしたかった」という知念さんのニーズと、現場をまわすリーダーを求めていた会社のタイミングが見事にマッチし、島にとっても知念さんにとっても初めてのラム酒づくりが始まった。2011年初旬のことだ。 

伊江村

「ラム酒は、大きくアグリコール・ラムとトラディショナル・ラムの2種類に分かれます。製糖工場で砂糖を精製する際に取り除かれる糖蜜からつくるのがトラディショナル・ラムで、サトウキビをそのまま絞ったままのジュースを使うのがアグリコール・ラム。イエラムサンタマリアは、アグリコール・ラムです」。さとうきびの搾り汁を原料とするアグリコール・ラムは、世界でも5%ほどしか製造されていない大変貴重なラム。伊江島蒸留所ではさとうきびの搾汁液保存技術を確立し、このアグリコール・ラムの製造を1年中行えるようにしたのは、日本ではここ伊江島だけで行われている製造方法だ。 

伊江村

使用する原料のさとうきびは年間約100t。本数にして年間約12,000本、生産している。貯蔵庫では、今まで蒸留してきたラム原酒がならび、出荷の時を待つ。「今のイエラムのベースになったのは2011年にできたT9です。2014年には、このT9を限定327本、初仕込みのT1を391本、『イエラムサンタマリアプレミアム』と名付け、樽の番号を入れた特別パッケージで出荷しました。今後もラムの熟成度合を見ながら数年に一度、限定プレミアムラムの販売を予定しています」。 

伊江村

製造開始から6年、つくったうちの半分は海を越えて県外、海外へも出荷しており、新産業はラム酒の熟成とともに、順調に成長を続けている。 

伊江村

知念さんは「つくり手が楽しくつくっている様子を見に来てほしい。観光のお客さんとの一期一会もお酒づくりの醍醐味です」と話し、蒸留所は土日も見学可能(要予約)。見学者を歓迎し、試飲もできる。原料の生産・加工・販売に加え、観光コンテンツとしても活用される、六次産業化のお手本のような姿がそこにある。 

伊江村

 

生産者組合からつくりあげた「伊江島小麦」 

もうひとつの「伊江島小麦」は、伊江島で古くから栽培されている「江島神力」を軸とする新産業。「有限会社TAMAレンタ企画の玉城社長が中心となって特産品開発を行い、島のPRをしてくださっています。民間の事業者が島の資源を活用して事業展開し、地域活性化を頑張るのがいいことで、それを村として側面的に財政面で支援していく、というのがベストだと思っています」と話す、島袋村長の理想像と重なる。 

伊江村

いちはやく民泊事業を起こし、レンタカー・レンタサイクルも手がけるTAMAレンタ社が中心となり、「株式会社いえじま家族」のもとで伊江島小麦事業を推進。看板商品「伊江島小麦チップス ケックン」をはじめ、伊江島小麦を一部使用したクラフトビールがオリオンビールから限定発売されるなど、広がりを見せる。 

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2011年に有志の農家を集めて伊江島小麦生産事業組合を発足してから、商品開発、レストランオープン、販売マーケットの拡大、「いえじま家族加工センター」開設、直売店リニュアルと、矢継ぎ早に六次産業化を進めてきた。「いえじま家族加工センター」では製粉とケックンや伊江島小麦そばなどの製造を行う。レストラン「いーじまとぅんが」では、伊江島小麦そばでつくった沖縄そばや伊江牛が食べられる。県外からの視察も増え、2016年には農林水産省から「ディスカバー農村漁村の宝」の優良事例に選ばれた。 

伊江村

株式会社伊江牛や株式会社伊江島物産センター、株式会社いえじま家族の活躍を受け、「多くの皆さんが六次産業に手掛けられるような環境整備をしていきたい。村の支援が必要なときには、相談を受けられるような体制をつくっていきたい」と意気込む島袋村長。伊江島出身者と地元企業による六次産業の躍進に目を細めながら、人口減少問題についてはこんな考えを持つ。

 

島の未来「村民はどう考えているのか」 

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「なにがなんでも人口増を目指すのか、数は現状維持で今住んでいる人の豊かさに重きをおくのか、分岐点がそろそろ来るのではないかと思っています。島には島の人情があり、言い換えればそれは閉鎖性です。諸手をあげて移住者を受け入れて増やした先に、島民の幸福があるのかをしっかり見極めたい」。 

伊江島の人口は、2016年の12月時点で4,621名。取材時の2017年10月の統計では4,623名。村長は「減り続けてきたものが、ほぼ横ばいで今年が終われば、これまで取り組んできた子育て支援や高齢者福祉の成果が出てきたと判断していいのではないかと思っています」と人口動態を注意深く見つめている。参考にしているのは沖縄本島の辺戸岬から22kmの沖にある鹿児島県の与論島だという。 

「面積がほぼ同じ一島一村なのですが、農業生産額も観光業収入も伊江村のほうが多いのに、人口は与論町のほうが1,000人多い。与論町には高校と総合病院があり、それが1,000人の差を生み出している可能性が高いと考えています。高校と総合病院がない、という構造的なマイナス要因である程度の人口減少が避けられないのであれば、視点を変えて、どうやって住んでいる皆さんにとって豊かで生きがいのある島にしていくかを考えたい」と島袋村長。 

村民が日々、彩りや生きがいをもって暮らせる島とはどんな島なのか。「村民はどう考えているのか。村民の間でコンセンサスをとれる着地点を見極めながらやっていきたい」と、暮らす人を主役にした村づくりを目指している。 

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