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町長さんの島じまん:9つの島々が織りなす美しき自然と文化を未来へつなぐ―竹富町長・西大舛髙旬氏(4)

町長さんの島じまん:9つの島々が織りなす美しき自然と文化を未来へつなぐ―竹富町長・西大舛髙旬氏(4)

竹富町には、竹富島、小浜島、黒島、西表島、波照間島、鳩間島、新城島(上地島 下地島)、加屋真島、由布島の9つの有人島がある。沖縄で2番目に大きい面積を持つ西表島から、人口10人未満の新城島まで。多彩な魅力を持つ島々を束ねる西大舛髙旬町長に、未来への展望を伺った。 

竹富町長

町長プロフィール

1947年西表島生まれ。1990年から26年にわたり町議会議員を務める。2016年、7期目の途中で町長選に初立候補し、前職を破って初当選。議員時代から、トレードマークは西表島のさとうきびを使った羊羹をつくっている「とらや」の紙袋。

 



 

Part4 さとうきびとパイン 一次産業を観光が支える未来 

 

とらやの和菓子職人が西表島にやってくる

町長が「島らしさの源泉」と位置づける農業は、主要作物のさとうきびを中心に、パイナップルや水稲、肉用牛を生産している。

西表島、小浜島、波照間島では、島内の含蜜糖工場でさとうきびを「沖縄黒糖」に加工。製糖工場は主に二種類にわかれ、白砂糖の原料を生産する分蜜糖工場と、絞り汁から不純物だけを取り除いてそのまま煮詰めた「沖縄黒糖」を生産する含蜜糖工場がある。含蜜糖工場は、沖縄県内に8箇所しかなく、そのうちの3つが竹富町にある。 

竹富町

このうち、西表島の沖縄黒糖は、和菓子のナショナルブランド「とらや」がつくる羊羹「おもかげ」に使われて約40年になる。西表島産の4割はとらやが買っている。これが、西大舛町長が、議員時代からとらやの紙袋をカバンがわりに使っている理由だ。

竹富町

「とらやさんがすごいなと思うのは、夏場の植え付け時期になると、職人さんが5、6名で島にやってきて、苗をとるところから手伝うんです。そして、1年半後の収穫時期になるとまたやってきてきび刈りを手伝い、製糖工場で働いて砂糖のでき具合を賞味して帰って行かれます。それだけ、使っている材料に責任を感じているということ。農家にとっては『俺の黒糖でつくった羊羹だ』という誇り。こういった誇りが大事だと思っています」。

竹富町

黒糖の原材料はさとうきびのみ。究極にシンプルな加工品であるぶん、さとうきびの質がそのまま味に出る。「酸性土壌かアルカリ性土壌かで、味が全然違います。原材料の質、味そのものでは負けていないのですが、コストで勝てない場面が多い。観光と掛け合わせることで、本来の価値を落とさずにいかに提供するかが課題です」。

 

六次産業化に取り組む「株式会社竹富町物産観光振興公社」 

島から運び出すのにコストがかかるなら、来た人に買って食べてもらおう、という発想で取り組みを始めたのが、六次産業化だ。2015年12月に、町商工会が980万円、竹富町が300万円、個人株主が210万円、竹富町観光協会が10万円を出資して株式会社竹富町物産観光振興公社を設立。南ぬ島 石垣空港と離島ターミナルの土産物店「島土産」の売り上げを2019年度までに8,524万円に引き上げることを目標に、特産品の販売力強化をスタートした。2017年度は5,409万円を売り上げるとともに、不採算となった離島ターミナル店を閉店。2018年度は地域ブランドの確立に取り組み、ECサイトを立ち上げる。

竹富町

竹富町役場政策推進課の通事太一郎課長は、「量や安定供給に課題があり、流通とのマッチングに工夫が必要な一次産品を売るルート開拓や、特産品の再開発がミッションです。島々でとれた黒糖やパインをどんなふうにして食べられたら嬉しいか。外のかたの視点で、アイデアを提供してほしい」と話す。

 

新品種と加工品開発で「沖縄黒糖」ブランド強化へ 

そんな中、民間が主体となった六次産業化の取り組みも始まっている。たとえば、町長が「ものすごく美味しい!」と推す「波照間島黒蜜」。島で居酒屋を営む登野盛龍さんが、波照間島産の黒糖を使って手づくりしている。サトウキビの生産、黒糖への加工、黒蜜への二次加工、島内の売店を中心とする販売というひと連なりの六次産業を「波照間ライン」と称し、工程すべてに波照間島の住人が関わっていることを打ち出す。

竹富町

商品パンフレットには、刈り取られたサトウキビが24時間以内に製品化されていることや、黒糖を柔らかく仕上げるために採用されている「オープンパン方式」という製法の話、波照間島の黒糖が食品産業センターから「特等」の評価を得続けていることなどを記載。町長が「誇りが大切。本物の味で勝負したい。」と話す精神をかたちにし、「どうお伝えしたらいいか、どう購買に結びつけるか」と問う課題に答えるような商品が、島の若者の手でつくられている。 

通事課長が「アイスとの相性がバッチリです」と話すとおり、波照間島屈指の観光スポット ニシ浜沿いのパーラーが黒蜜かけ放題のソフトクリームを出したり、石垣島の飲食店でも波照間島黒糖を使った料理やスイーツが展開されるなど、広がりを見せている。 

波照間島では2017年、沖縄県農業研究センターが20年の歳月をかけて開発した黒糖専用のサトウキビの新品種が誕生した。黒糖特有の味わいと、ミネラルなどを含む糖蜜の割合が高く水分量が少ないことが特徴。白糖に比べて生産量が圧倒的に少ないため、品種開発がされてこなかったが、地元農家が中心となって必要性を訴えてきた。島の主力産業である黒糖の品質をより高め、差別化につなげる狙い。

竹富町

黒糖専用サトウキビの品種開発は西表島でも行われており、原材料の面からも、離島の「沖縄黒糖」の付加価値向上、ブランド化が期待されている。

パイナップルについても、年間を通した農家の安定収入に結びつけようと、端物を使ったビン詰め商品の開発を進めている。

農業が島らしさを支え、島らしさが観光客を呼び込む。その観光客によって農業が支えられる。農業と観光業が支え合い、無二の自然と文化が守られ続ける未来に向けて、竹富町の歩みは続く。 

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