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町長さんの島じまん:9つの島々が織りなす美しき自然と文化を未来へつなぐ―竹富町長・西大舛髙旬氏(3)

町長さんの島じまん:9つの島々が織りなす美しき自然と文化を未来へつなぐ―竹富町長・西大舛髙旬氏(3)

竹富町には、竹富島、小浜島、黒島、西表島、波照間島、鳩間島、新城島(上地島 下地島)、加屋真島、由布島の9つの有人島がある。沖縄で2番目に大きい面積を持つ西表島から、人口10人未満の新城島まで。多彩な魅力を持つ島々を束ねる西大舛髙旬町長に、未来への展望を伺った。 

竹富町長

町長プロフィール

1947年西表島生まれ。1990年から26年にわたり町議会議員を務める。2016年、7期目の途中で町長選に初立候補し、前職を破って初当選。議員時代から、トレードマークは西表島のさとうきびを使った羊羹をつくっている「とらや」の紙袋。

 



 

Part3 いかにして守るか、その先の「世界自然遺産」 

 

ありのままを残すから、それを見てほしい

観光について「なるべくありのままを残すから、それを見てほしい」と話す町長。危機感を募らせるのが、一部の観光事業者による生態系を顧みないふるまいと、自然崇拝の精神文化、価値観の変容だ。 

竹富町

「西表島の森を探検するカヌーのツアーで、川底に足をつけて歩くときにお客さんが滑らないように、とスパイクを履くことがあります。そのスパイクが苔をこそげてしまう。苔は川にすむいきものにとって大事な栄養や酸素を補給しているのに。そのように、気づかずに生態系を壊す行為が増えていくことを危惧しています」。 

竹富町

中には、ツアーに利用していたエリアが荒れたら、また別のところに移動する、といったかたちで焼畑農業のように森を荒らしているケースもあるそう。町では、観光協会への参画を促し、講習会を行うなどの対策を考えている。 

観光客に供される動植物も悩みの種だ。「珍しくて美味しいヤシガニは、営利目的で捕獲する人が後を絶たず、沖縄じゅうの島々で問題になっています。また、オオタニワタリの新芽をお客さんに食べさせる民宿があるようですが、もともとは法事のときにしかとらないもの。乱獲に発展しないか心配です」。

竹富町

町長をはじめ島人にとって、イノー(海の内礁)や山は冷蔵庫。保存技術がなかったころは、食べるぶんだけその都度獲りに行っていたため、必然的に獲りすぎることなく、資源が保たれてきました。「飲み会のときは、一番若いやつがモリをもってイノーにガザミを獲りに行き、5人なら5杯、獲ってくるのが通例でした」。 

自然に感謝し、恵みを賢く活用してきた精神文化が崩れてしまったら、誰も彼もが自然から獲りたい放題となり、守れるものも守れない。「パナリ(新城島)にはハブがいないから獲りやすい。でも、島の人にとってヤシガニは神聖な存在ですから、乱獲などしない。ヤシガニひとつとっても、祭りのおかげで自然を大切にする価値観が脈々と受け継がれているのです」。 

数百年の間、自然に生かされるあり方が象徴である祭りに支えられてきた島々にとって、それらまるごとを外から来る人々に楽しみとして提供する観光業の繁栄は、歴史に新たなページがめくられた状況といえる。いかに共存していくか、模索が続く。 

「観光業界の方とは、いつも議論になります。西表島の西側と南側は道路が通っていません。ここに道路を通そうと言ってくる。それは島にとって本当にいいことか。また、展望台をつくりましょう、と言ってくる。つくるのはいいけれど、トイレもつくらなければならない。雑廃水はどうするのか。最後の後始末まで考えての提案なんでしょうか」。そう力を込める町長には、苦い経験がある。 

「パイン工場ができた後、廃水が流れ込んだ海からいきものがいなくなりました。それまでは、シャコ貝なんて数歩歩くごとに蹴飛ばすほどたくさんいたのに。ちょっとしたことで、本当にいるものがいなくなるんですから」。 

 

客寄せではなく「守るため」の世界自然遺産登録へ 

平成15年の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で、琉球諸島が日本の世界自然遺産候補地のひとつに選定された。その中で、奄美大島、徳之島、沖縄島北部(やんばる)、西表島は、大陸から離れていった地史の中で生き物が独自の進化を経て多様化し、絶滅危惧種なども多く生息・生育していることから「生態系」と「生物多様性」の視点で評価された。ユネスコによる世界自然遺産の選定においては、「顕著で普遍的な価値を有すること」とともに、「その価値が将来にわたって守られること」が重視される。

竹富町

2017年10月には世界遺産委員会諮問機関が現地調査に訪れ、2018年夏頃には世界遺産登録の可否が決まる。竹富町は登録を目指す目的として「将来にわたって島の自然・文化を守る仕組みを得ること」を重視しており、登録に不可欠の管理計画を策定するため、自然環境保護条例の改定や住民説明会も開催した。「調査団からは、ルール・規制は重要とのお話もいただいています。登録されたら、これまで以上に多くの観光客に来ていただくことになると思いますが、島の住民も巻き込んで、保全の強化をしっかりやっていきたい」と話す西大舛町長。 

「目先の利益にとらわれず、長い目で見て何を残すかが大切」と、自然と文化に軸足をおいたブレのない町政運営を進めている。 

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