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島酒泡盛ほろよい紀行:最果ての島に残された清めの花酒「どなん」―与那国島・国泉泡盛合名会社

島酒泡盛ほろよい紀行:最果ての島に残された清めの花酒「どなん」―与那国島・国泉泡盛合名会社

しょっちゅう訪れる、酒席で次のお酒を選ぶシーン。ビールの後、「今日はハイボールやレモンサワー以外のものを飲もうかな」と思っても、どれを選べばいいかわからず、結局ハイボールかレモンサワーを注文してしまうことはありませんか?  

沖縄の島々には、47もの泡盛酒造所があります。  

泡盛の味を覚えて「これとこれが好き」と贔屓の銘柄を頼んだり、「今日はこれ」と気分に合わせて選んだり、「これ美味しいよ」と人におすすめできたら、楽しい酒席がもっと楽しくなるかもしれません。  

そこでおきコレでは、ひとつひとつの酒造所に足を運んでみることにしました。  

教養が育つ工場見学や、無料の試飲。そして、行った人しか買えない限定銘柄と、楽しみの多い、泡盛探訪。  

・・・・・

今回ご紹介するのは、与那国島の国泉泡盛合名会社です。 

日本最西端、台湾との国境に位置する与那国島には、3つの泡盛酒造所があります。そのひとつ、国泉泡盛合名会社は、かつての島の呼び名「どなん」を冠した泡盛をつくり続けて60年。 

黒潮が渦巻く与那国島は一年を通して風が強く、荒波に隔てられているため、どなんは、漢字で書くと「渡難」である、という説があるほど。物資の乏しい島では戦前、各家庭でお酒をつくっていました。 

国泉泡盛は、それぞれ個人で酒造りをしていた我那覇氏、金城氏、大嵩氏が1958年に合名会社を立ち上げたのがはじまりです。7年前まで、集落の一角にある工場でつくっていました。建物だけが今も残り、雨風に耐えて積み重ねた時間の重みを、ものも言わずに伝えています。 

2011年に、宇良部岳の森の中に工場を移転。たくさんつくれるようになりました。直売所もあります。すぐそばに、手のひらよりも大きな世界最大の蛾「ヨナグニサン」の体験学習施設「アヤミハビル館」。合わせてどうぞ。 

国泉泡盛の一番の特徴は、花酒と呼ぶことで、アルコール度数60度の泡盛の販売が許されていること。なぜ許されたか、島ならではの理由があります。 

その理由とは、骨を洗うのに使うから(!)。 

与那国島ではいまもなお、亡くなった人を火葬せずそのまま埋葬してあの世に送り出します。亡くなったあと、亀甲墓の中で安置された遺体を、7年後に洗うときに60度の花酒が必要になるそうです。 

「水で洗ったあと、花酒をかけて火をつけると、骨が真っ白になるのだそうです」と話してくださったのは、杜氏の米澤さん。「洗骨」が行われるときにはそのための注文が入ります。 

見学に訪れた日も2本、洗骨用の花酒が発送されていきました。 

村木の「クバ」の葉で巻かれた、趣のあるパッケージも目をひきます。これ、島の女性たちがひとつひとつ手で巻いているのだそうです! 

お願いして、巻いているところを見せていただきました。風が吹き抜ける縁側にゆったりと座り、山からとってきて乾かしたクバの葉を見事な手さばきで巻いていきます。 

クバは、与那国島の暮らしにひろく使われてきた植物です。大きな葉で傘をつくったり、物入れにしたり。大瓶と小瓶、それぞれに合わせた大きさの葉を使うことで、きれいにぴったり、おさまります。使う道具はハサミひとつの、匠の技。 

ラベルの裏に接着剤を手でのばして、ぺたり。これで完成。綺麗に巻かれ、持ち手までつくと、泡盛が民芸品のように仕上がりました。 

中身の泡盛にも、こだわりがつまっています。 

「台湾のラジオが入るんですよ。歌謡曲を聴きながらつくっています」と米澤さん。 

「目指しているのは『湿った麹』ではなく、『乾いた麹』です」。そのために、お米を水で洗って蒸し始めるまでの浸水は25分。蒸すときはドラムを回転させながら、10分強火、40分弱火、最後に強火で水分を飛ばします。 

「湿った麹だと、苦みや雑味が出ます。乾いた麹は、スッキリ甘くなる。なので、お米の蒸しあがりは、外硬内軟が理想です。新しい工場になってからいろいろと試して、蒸すときにドラムを回転させたほうが麹が入りやすいことがわかり、今のかたちになりました」。 

蒸しあがったお米は42度まで温度を下げ、黒麹を投入して混ぜ、1晩おきます。「朝来て、黒麹が元気だったらOK」。階下の真下にある三角棚に落とます。黒麹菌はここで蒸し米に菌糸を行き渡らせたあと、繁殖のために胞子が咲かせます。 

菌の生理現象を見極めながら、最後にできるお酒の味を意図して手を加えるのが人間の仕事。「37度で1日置いたあと、32度に下げて半日枯らします。温度を下げると麹菌が酸を出すので、お酒の味に酸味が加わります。」 

神経を研ぎ澄ませてできたもろみをバケツリレーでタンクに運び、酵母を加えて、発酵させること4週間。「低温でじっくり発酵させたほうがいい風味が出る気がします」と、国泉では一般的な酒造所よりも、やや長めの発酵時間。表面に浮いているお米がなくなって、中の液体が美味しそうな黄色になるまで。その間、発酵が進みすぎたりしていないか見守りながら、朝夕、1日2回かきまぜます。 

アルコール度数18度を目印に、蒸留。濾過を経て、30度と43度と60度の「どなん」に仕上げます。 

前の工場から運んだ秘蔵には、与那国島のお米でつくった10年古酒や17年ものの60度の花酒も。「10年ものの島米の泡盛は、あとひとタンクだけになりました。『離島フェア』に出すか? それでなければ年内には商品化するか。まだわかりません」。 

この、いつ世に出るかわからない最後のひとタンクのお酒を、直売所で試飲できました。華やかさにわずかな酸味が加わった、たいそう美味しいひとしずくでした。 

国泉泡盛合名会社
所在地:沖縄県八重山郡与那国町与那国2087
電話:0980-87-2315
見学時間:10:00-15:00(少人数で要事前予約)
見学所要時間:10分
定休日:正月・お盆 

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