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島酒泡盛ほろよい紀行:もろみの温度管理も地下水で。67年間変わらない酒づくり―石垣島・池原酒造

島酒泡盛ほろよい紀行:もろみの温度管理も地下水で。67年間変わらない酒づくり―石垣島・池原酒造

しょっちゅう訪れる、酒席で次のお酒を選ぶシーン。ビールの後、「今日はハイボールやレモンサワー以外のものを飲もうかな」と思っても、どれを選べばいいかわからず、結局ハイボールかレモンサワーを注文してしまうことはありませんか?  

沖縄の島々には、47もの泡盛酒造所があります。

泡盛の味を覚えて「これとこれが好き」と贔屓の銘柄を頼んだり、「今日はこれ」と気分に合わせて選んだり、「これ美味しいよ」と人におすすめできたら、楽しい酒席がもっと楽しくなるかもしれません。  

そこでおきコレでは、ひとつひとつの酒造所に足を運んでみることにしました。  

教養が育つ工場見学や、無料の試飲。そして、行った人しか買えない限定銘柄と、楽しみの多い、泡盛探訪。  

今回ご紹介するのは、石垣島の池原酒造です。 

・・・・・

石垣島の市街地とひとつづきの閑静な住宅街で、昭和26年からお酒造りを続ける池原酒造所は、赤瓦のお屋敷のような佇まい。 

ここで手づくりされる「白百合」は、個性の強い香りに根強いファンがつき、ほとんどが地元のひとびとの直接注文で売れてしまいます。 

昔ながらの小さな蔵で、家族と数人のスタッフが働いています。つくれる分だけ、すべて手作業。洗米から蒸留まで、もろみの温度管理も含めて一切の機械を使わないあり方は、そのプロセス自体が文化財のようです。 

通りに面した引き戸をカラカラと開けて中に入ると、直売所と事務所の小さな空間があり、そこから廊下を進んだ先で、蒸したてのお米が甘い香りの湯気をたてていました。 

案内してくださったのは、代表取締役の池原優さん。一度島を出たあと、帰省中に2人で蔵を守っていたおじいさん、おばあさんを手伝ううちに、引き継ぐことになりました。 

2017年4月、創業者の娘さんにあたります池原信子さんから代替わりしたばかりの4代目。「つくり方はまったく変わっていないのに、味が変わったと言われます。火入れのタイミングなのか、自分たちでも気づかないほんの少しのことで味が変わったのが不思議です」と話します。 

優さんが引き継ぐタイミングで、個人事業主から株式会社にしました。池原信子さんの名前が入ったラベルは、あとわずか。これを買い求めに訪れる熱烈なファンの方もいらっしゃるそうです。 

 

お酒づくりは、お米を洗って蒸すところから始まります。蒸しの工程ではドラム式の蒸米機でお米を回転させながら蒸すのが主流ですが、池原酒造では昔ながらの蒸し箱を使います。蒸しムラを防ぐために、仕込む量の半分を先に蒸し、あとから洗ったお米を重ねて再度、加熱。 

 

均一に熱が通るよう、お米の表面を丁寧にならします。 

お米が蒸しあがったら、麹室に運び入れ、竹網の上にむしろを敷いた上で麹をたてます。年季が入った麹箱にも、黒麹菌が住んでいるのでしょうか。 

蒸米に麹が立ったら、醪室でタンクに入れ、水と酵母を投入して発酵がはじまります。 

池原酒造ではここでも、昔ながらの製法を守っています。酵母の働きをコントロールして発酵のスピードを調整するため、多くの酒造所では機械による温度管理をしています。ところが、池原酒造では井戸水の流水で冷やしているのだそう。 

井戸水は、亜熱帯気候の石垣島でも年間を通して20〜30度に保たれているため、この冷たさを利用して、醪を30度以下に保っているのです。 

枯れることのない地下水に守られて、温度が上がりすぎて酵母菌が死んでしまうことなく、発酵が進んでいきます。 

発酵させる時間の長さは、酒造所によって本当にさまざまです。池原酒造では、夏は12日、冬場は16〜20度くらい。夏の12日は、かなり短い部類です。発酵中のもろみの色も、他の酒造所に比べてかなり濃く、黒に近い珍しい色合いに感じました。 

この日は、ちょうど蒸留をしているところでした。 

47ある泡盛の酒造所の中でも、「地釜」と呼ばれる昔ながらのかまどを使っているのは5つだけ。「泡波」の波照間酒造所、「宮之鶴」の仲間酒造所、「於茂登」や「かびら」の高嶺酒造所、「与那国」や「海波」の崎元酒造所、そして、こちらの池原酒造です。 

火で炊かれてアルコール分や油分、旨み成分が蒸気となり、釜の上部から伸びている「ウマ」と呼ばれるパイプを通る間に冷えて再び液体になる「蒸留」の工程。内部には、銅製の釜を使っています。 

池原酒造ではまた、蒸留してできたお酒を濾過せず、そのまま貯蔵するそう。「タンクの中の泡盛は、油で濁っていますよ」 

出荷する直前に、濾過をして瓶詰めします。 

ラベル貼りも、一枚一枚、人の手で。 

 

これらすべてが、67年間変わっていない池原酒造のお酒造りです。「機械化されていない工程が多い分、味はムラが出ます。」と池原さん。「11月1日が泡盛の日に制定されているのも、泡盛の旬、気温が下がって本来つくりやすい季節が始まるよ、の意味なんですよ」。お酒づくりは、自然とともにあるのですね。 

帰り際、地元の大切な文化を学びに訪れた、小学生と鉢合わせ。 

人と菌と空気と水と。一度飲んだら忘れられない「白百合」の鮮烈な個性は、昔からここにある、ここにしかない素材が紡ぎ出したもの。島酒の真髄を見た思いです。

池原酒造所
所在地:沖縄県石垣市字大川175
電話:0980-82-2230
施設見学:不可 

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