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okicole 離島 渡嘉敷島

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村長さんの島じまん:国立公園の島が未来につなぐ旅づくり・ものづくり―渡嘉敷村長 松本好勝氏(4)

村長さんの島じまん:国立公園の島が未来につなぐ旅づくり・ものづくり―渡嘉敷村長 松本好勝氏(4)

渡嘉敷村は、渡嘉敷島と大小10余りの無人島からなる人口約700人の村。晴れた日には、那覇エリアから島影を眺めることができるほどの近海に位置し、フェリーで約1時間10分、高速船で35分という短時間でアクセスすることができる。美しい海を目当てに多くの観光客が訪れる渡嘉敷村の光と未来を、松本好勝村長に聞いた。 

 

Part4 チームプレーが拓く特産品の新機軸 

豊かな水と海が育む黒米 

渡嘉敷島は、水に恵まれた島でもある。総面積1918haのうち民有林面積が1655haあり、森林率は87%。「田んぼができるほど水に恵まれているんですよ。二回作ができ、日本で一番早い新米がとれます」。黒米は、そんな恵まれた環境を生かして特産品に育てようと力を入れている農産物だ。なお、村は2008年度から農業分野における完全無農薬・有機栽培を積極的に支援している。 

2005年度から内閣府の「一島一物語事業」を活用して加工品の開発をスタートし、2007年に販売にこぎつけたのが泡盛ベースのリキュール「とかしきの風」と「とかしき黒米茶」。リキュールは久米仙酒造に製造を依頼し、島産のヤマモモも加えた。お茶は黒米を70%配合し、ゴーヤーやクワンソウもブレンド。沖縄本島の沖縄美健が製造協力し、村内農家を中心に組織する農業生産法人「ゆめ島とかしき振興会」が久米仙酒造、沖縄美健と連携して販売展開している。 

島のお母さん5人で始めた黒米味噌づくり 

黒米は、村長が「村の農業の功労者」と話す當山清林氏が開発の6年前から栽培していた古代米のアサムラサキ。この黒米を使って2014年に新しく誕生したのが、「むらさき黒米味噌」だ。 

つくり手は商工会女性部。それぞれに本業を持つ島の女性たち5人でスタートした。同年に、第17回商工会特産品フェア「ありんくりん市」で審査員特別賞を受賞。女性部部長で、ペンション「リーフイン国吉」とダイビングサービス「WATER KIDS」を経営するビジネスオーナーでもある国吉佳奈子さんは、こう話す。「10年近く、村長や役場の商工観光課、農家さんや商工会の方々から特産品をつくってくれないかと言われてきました。でも、本業があるので、なかなか難しかったんです。それでも、女性部を結成したところから一念発起して。みんなで無記名投票して、何をつくるか決めました。『お味噌』って出たときは、ショックでした(笑)お味噌は大変だから」。 

過去には、商工会婦人部が「とかしき味噌」をつくっていたが、自然消滅してしまった経緯があり、加工所も残っていた。「ただお味噌つくっても面白くない。そんなとき、私たちが『先生』って呼んでるハルサーの當山さんが紫黒米を持ってきてくれて。これを使おうということになりました。」島内で、80代の女性などにリサーチしたが、かつての「とかしき味噌」のレシピはわからなかった。そうして、味噌づくり加わった経験がある人物や「首里味噌」に勤めていた人物を含めた5人で手探りのスタートとなった。 

受賞で仲間が5人から14人に

「仕込んで半年寝かせたら黒カビが出たり、さんざん失敗しました。大豆と紫黒米と白米の割合を細かく何十種類に分類して、シークワーサーを加えてみたり、研究に研究を重ねて、塩分の控えめな マイルドな風味のお味噌がやっと完成しました。コツをつかめたので、フェアに出店したところ、賞をいただけたんです」。 

さらに2016年、国吉さんが全国商工会女性部連合会第18回商工会女性部全国大会の主張発表大会に九州・沖縄ブロック代表で出場。「小さな島のものづくり、ひとづくり」と題し、「むらさき黒米味噌(みそ)」開発の道のりを発表し、最優秀賞を獲得した。 

「評価の決め手は、5人がひとりも欠けずに朝から本業を挟んで夜中の12時まで手作業をするチームワークでした。そして、賞とったらこんなに変わる?っていうぐらい島のみんなが興味をもってくれるようになった」。賞をもらったことで注目が集まり、味噌づくりのメンバーは5人から14人に増えた。 

「予算ゼロの手弁当で始めたけれど、役場が作業場にクーラーや大豆をつぶす機械を入れてくれて。丸一日かかっていた作業が3時間でできるようになったり、生産効率も上がってきました。ただ、スタートしてから3年経っていて、最初のメンバーは私よりも高齢なので、3歳年を取るのは大きなこと。下の世代の40代の人たちも誘いたいけれど、みんなゆっくり結婚して子どもを育てているから、まだ子どもが小さくて難しい。生産拡大と、継承が課題です」。 

夏は汗まみれ、冬は味噌まみれ 

むらさき黒米味噌は人気があり、出せばすぐに売り切れてしまうという。マグロジャーキーと同様に、需要が供給を上回る状況に対して、国吉さんは「苦労してたどり着いたレシピだからと大切にあたためて教えないで終わってしまうことのないように、塩の配合から寝かせる時間など、細かく全部記録して、女性部のメンバーみんなにあげています。若者たちにも『一緒にやろう』『子供連れて来てもいいから』と言っているんです」と、仲間づくりに心を砕いている。 

「白米は北国に叶わないけれど、雑穀米は地温が高ければ高いほど力がつくように思うんです。それに、島では海にサンゴが生息していて、サンゴの褐虫藻が光合成して酸素とミネラルいっぱいの空気をつくっている。それが潮風にのって土に届いている。島の太陽と海と土、そしてハルサーさんが育てたお米を、わたしたちはお味噌にすることで、価値が出せれば」と話す国吉さん。 

 

「夏は汗まみれ、冬は味噌まみれ」と笑いながら、マグロジャーキーと合体させたおかず味噌や、3年寝かせた熟成味噌も準備しており、息の長い展開を目指している。 

観光、特産ともに、伸びしろの大きな渡嘉敷島。島で活躍する多くの人々が、仲間を待っている。 

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