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okicole 離島 渡嘉敷島

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村長さんの島じまん:国立公園の島が未来につなぐ旅づくり・ものづくり―渡嘉敷村長 松本好勝氏(2)

村長さんの島じまん:国立公園の島が未来につなぐ旅づくり・ものづくり―渡嘉敷村長 松本好勝氏(2)

渡嘉敷村は、渡嘉敷島と大小10余りの無人島からなる人口約700人の村。晴れた日には、那覇エリアから島影を眺めることができるほどの近海に位置し、フェリーで約1時間10分、高速船で35分という短時間でアクセスすることができる。美しい海を目当てに多くの観光客が訪れる渡嘉敷村の光と未来を、松本好勝村長に聞いた。 

 

Part2 観光業で、食べていく

小規模事業所の8割が観光業に従事 

2014年の経済センサスによると、渡嘉敷村の民間事業の総収入は17億2000万円。そのうち宿泊・飲食サービス業が5億8700万円と最も多く34%を占める。小規模事業所の数では、78事業所のうちの約80%が観光業に携わっており、「観光で食べている」渡嘉敷村の姿が如実に現れている。 

島を代表する観光事業者であるシーフレンドは、渡嘉敷島出身の大城秀幸氏が1985年に創業した。阿波連地区でペンション14部屋、ログハウス7部屋、民宿9部屋に、100席の海鮮飲食店。港待合所でも喫茶店を営み、レンタカーや村内の宅急便サービスも手がける。 

ダイビングサービスでは、ダイビング船5艇とマリンジェット2艇を稼働させ、夏の繁忙期には35名~40名を雇用するという。 

「海に惹かれて」観光業が若者のIターンを促進 

松本村長が、「観光業は若年従業者の割合が高く、これから最も期待される分野です」と語るように、ダイビングの専門学校を卒業してすぐにシーフレンドに就職し、3年目を迎えるというスタッフをはじめ、多くの若者に働く場を提供している。 

ダイビングインストラクターの内田哲治さんは、もともと東京のスポーツクラブに勤めていたIターン組。「お客さんを世界中の海にお連れする仕事の中で、ある時慶良間の海を訪れ、いつか必ずここに住もうと決めました」。毎年、古巣のスポーツクラブから30人のダイビング客を呼び込み、4泊5日するツアーを5回催行しており、毎年必ず訪れるリピーターも多いという。 

移住を決心させるほどの海の魅力を尋ねると、「渡嘉敷島には、世界でもベスト10に入ると思われるビーチが2つもあります。透明度は抜群で、シューノケリングでウミガメや群生するサンゴが見られる。遠浅の白砂のビーチは、いつも穏やかで、安心して楽しめます」と話してくれた。 

「やる気さえあれば、ゼロから教えてダイビングインストラクターに育てます」とスタッフ教育にも熱心。シーフレンドで働きながら技能とノウハウを身につけ、独立してダイビングショップを開いた若者が、過去に3人いる。そのうちの1人は韓国人で、独立後は韓国人向けのダイビングツアーを企画し集客。船やレンタル機材はシーフレンドのものを使って協業しているケースもあり、人材育成のみならず、起業支援の機能も担っているようだ。 

新卒でシーフレンドに就職した武田銀太朗さんは、現在韓国語を学習中。「韓国からのお客さんも多いし、韓国人のスタッフもいるので、交流する中で自然と学びたいという意欲が湧いてきます。毎日楽しいです」と、島で働き暮らす日々を楽しんでいる。 

内田さんは「座間味村では、村役場とダイビング協会が協力して、年に一度、島に来てくれるダイバーの方々のための感謝祭をやっています。渡嘉敷でもそれをやりたい」と未来への展望を語ってくれた。 

美しい海という観光資源を最大限に活用し、後継者の育成も順調に見える渡嘉敷島の観光業だが、課題もある。 

村長自ら、修学旅行を呼び込む 

商工会の中馬直樹さんは、「日帰り客が多く、特産品が少ないために、島に落ちるお金が少ないことが課題です。また、閑散期は宿泊業やダイビングサービスを休業する事業者も多く、継続的な雇用による人材育成が難しい。その難しさの一因は、Iターン希望者が住める住宅不足にもあります」と話す。 

村が実施した調査では、日本人観光客の45.7%、外国人観光客の93.1%が日帰り。また、80%が初めての来訪だったのにもかかわらず、島で使ったお土産代は0円と回答した人が多く、レジャー代は1000円~3000円未満が最多と、中馬さんの言葉を裏付ける結果が出ている。また、繁忙期には稼働率100%の事業者が6割にのぼるのに対して、閑散期は20%未満が53.3%と、極端な増減を繰り返していることも示された。 

この現状に対して、村長自ら誘致に取り組んでいるのが閑散期の修学旅行受け入れだ。「年に2回、千葉県や茨城県に修学旅行の誘致に行きます。本土の高校生は、島に来て海に入ると『ほんとだ!しょっぱい』って言うんだそうですよ。未知の世界を味わってもらえるんじゃないかな、と思います」。 

平和や環境の大切さを伝える島に 

また、修学旅行で提供する平和学習も、村長が重視するトピックのひとつ。「渡嘉敷島では、終戦間際の1945年3月28日に住民の半数近く、332名が集団自決で亡くなりました。今でも、この日に慰霊祭を行なっています。わたしは、その翌日の生まれたんですよ。それから終戦の8月まで5ヶ月、山の中で生活していました」。 

「一番上の20歳上の姉さんが、手榴弾の破片が目の上をかすめるという壮絶な体験をしながら、懐の中で育ててくれた。今でも、おばあたちに『姉さんの恩を忘れたらいかんよ』と言われます」。語り継がれた自らの体験から、平和の尊さを伝える役目を感じている。 

沖縄県の本土復帰後、返還された米軍施設を活用して平和の象徴として設立された「国立沖縄青少年交流の家」は、学校・団体・企業・家族・スポーツ合宿等で年間のべ7万人を超える利用者がある教育施設である。ここに宿泊して研修を行う学校等の多くが、平和学習として、集団自決を生き延びた語り部から話を聞く体験を取り入れている。 

また、渡嘉志久地区にあるこの青少年交流の家の海洋研修施設を利用して、修学旅行を実施している愛知県東海市はサンゴの植え付け体験事業を行っているという。「愛知県東海市の全中学校6校は、毎年サンゴの植え付け体験をやっています。平和や環境の大切さを伝える島になれれば」と松本村長。 

中馬さんによれば、こうした体験学習や修学旅行の受け入れをはじめ、12月~3月がピークのホエールウォッチングなど閑散期にも提供可能な体験サービスの拡充、また、それらの情報発信を、多角的かつ適時的に実施するためにも、実働部隊となる観光協会の設立が待たれるという。 

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