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島酒泡盛ほろよい紀行:カツオ一本釣りの島で少しずつ手づくりの酒―伊良部島・渡久山酒造

島酒泡盛ほろよい紀行:カツオ一本釣りの島で少しずつ手づくりの酒―伊良部島・渡久山酒造

しょっちゅう訪れる、酒席で次のお酒を選ぶシーン。ビールの後、「今日はハイボールやレモンサワー以外のものを飲もうかな」と思っても、どれを選べばいいかわからず、結局ハイボールかレモンサワーを注文してしまうことはありませんか? 

沖縄の島々には、47もの泡盛酒造所があります。 

泡盛の味を覚えて「これとこれが好き」と贔屓の銘柄を頼んだり、「今日はこれ」と気分に合わせて選んだり、「これ美味しいよ」と人におすすめできたら、楽しい酒席がもっと楽しくなるかもしれません。 

そこでおきコレでは、ひとつひとつの酒造所に足を運んでみることにしました。 

教養が育つ工場見学や、無料の試飲。そして、行った人しか買えない限定銘柄と、楽しみの多い、泡盛探訪。 

今回ご紹介するのは、伊良部島の渡久山酒造です。 

 

ほんの数年前まで、船で渡らなければ行けなかった伊良部島は、独特の文化や風土が色濃く残る、漁師の島。 

 

2015年に開通した伊良部大橋からの絶景は、3.5kmにわたって続きます。宮古島に行くなら是が非でも、そして何度でも、堪能したい名所。

この伊良部島で、1948年創業。戦後すぐから、島の人々のために泡盛をつくってきたのが渡久山酒造です。 

「今でも、お客さんはほとんど島の人です。」とお話を聞かせてくださったのは、4代目渡久山研悟さん。 

同じ敷地内に、スペースを挟んで自宅と工場。 

宮古島と伊良部島には合わせて7つの酒造所があり、渡久山酒造はその中でも一番小さな酒蔵です。 

祈りが暮らしに溶け込んでいる伊良部島で、ことあるごとに行われるカンニガイ(神願い)や、宮古島特有の酒宴「おとーり」で泡盛を飲みます。島の暮らしに密着した、なくてはならないお酒、それが渡久山酒造の「豊年」と「ゆら」なのです。 

「しゃべって、回して、わいわい。おとーりで飲む泡盛は水で薄めますが、誰でも美味しく飲めるように、クセのない味を目指しています」 

母屋でお話をうかがって、そのまますぐとなりの工場へ。「天井や壁にも黒麹菌がいます。真っ黒いので、びっくりしないでくださいね。」という言葉に、ますますワクワク。さすが、高温多湿の環境に息づく黒麹菌の生命力! 

工場のあるじは黒麹菌。黒麹菌のみなさんが主役の世界に突然現れる巨大不明生物になる気分です。渡久山さんは「気づくと、鼻の中が真っ黒になっていますよ」と笑っていました。 

ご夫婦とスタッフ3名の5人でつくっています。お米を蒸す→蒸したお米に黒麹菌を付ける→黒麹菌がついて蒸し米が麹に→麹と酵母を水に入れる→発酵してもろみに→蒸留してアルコール分を抽出 という泡盛づくりのプロセス。渡久山酒造では、お米を蒸し器から麹を立てる仕込み器に運ぶとき、人力のたらいリレーで仕事をします。 

麹を立てるところから先は、目で見て、香りを嗅いで、感覚で進めます。もろみの発酵を終えるのは、「バナナのようなフルーティな香りを醸し出すとき」が頃合い。 

アルコール度数は、昔ながらの器具を使ってチェックします。 

麹がたくさんついたら古酒向き。つきすぎないときは淡麗な味になる。「もちろん、極力、味を安定させるようにしています。でも、ある程度は風土を反映して味が変わるもの。ばらつきがあるのも個性、と言ってくださるお客様もいます」。 

美味しさを守る要は、ミネラル豊富で硬質な島の地下水、温度管理、そして麹をつける時間の長さ。硬水だと、もろみが華やかな香りに仕上がるとか。 

使っている種麹も酵母菌も、オーソドックスなもの。それでも、この島の水と空気で醸されることで、正真正銘の島酒、個性ある伊良部島のお酒ができあがるのです。 

「同じようにつくっていても、お米の状態によって、麹がついてくれないこともあるんです」。そういうときは、同じお米を仕入れているはずの、同世代の蔵人仲間に電話をかけ、「そっちはどう?」と確かめ合うのだそう。 

沖縄のあちこちで、それぞれの島酒づくりを続ける3代目、4代目のネットワーク。なんだか頼もしいですね。 

ラインナップは、軽めでマイルドな「ゆら」25度と、30度の「豊年」。濾過のしかたが違います。これに、8年ものの古酒「古酒豊年」。 

伊良部島では、2本セットがふつうの売り方。1本じゃあっという間に飲み終えてしまうのでしょうか。 

社会人になってすぐに、酒造りを継いだわけではなく、「沖縄本島に住んだり、好きなことをさせてもらっていました」と話す渡久山さん。あるとき、お母さんに「おとう、忙しそうだよー」と言われ、島に戻ってきました。 

最近は、若い人が島酒を飲まない。「本数は減っています。でもうちは、小さな酒蔵なのでリキュールをつくるとなっても設備もいるし、簡単に手は出せません。地道に泡盛をつくっていっていくしか」。 

島の人たちのために、こつこつ島酒をつくってきた、肩の力が抜けたおおらかさが、「豊年」と「ゆら」の味に滲み出ている、かもしれません。 

周囲26.6kmの伊良部島。今なお、カツオの一本釣りが盛んで、佐良浜漁港を臨む傾斜地に建つ”カツオ御殿”が迷路のようにつながった佐良浜集落など、長い歴史を持つ漁師町ならではの情緒があります。 

島まるごとと一緒に、渡久山酒造の島酒を楽しんでくださいね。 

■渡久山酒造 
見学時間:10:00-15:00
見学所要時間:15分
定休日:土・日・祝祭日
留意点:少人数で要事前予約をお願いします
住所:沖縄県宮古島市伊良部字佐和田1500
電話:0980-78-3006 

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