おきコレ沖縄に住む人のためのニュースアプリ

  • twitterへ
  • facebookへ
  • instagramへ

okicole 離島 多良間島

0

47

村長さんの島じまん:“日本で最も美しい村”の「ゆかり゚」村づくり – 多良間村長 伊良皆光夫氏(2)

村長さんの島じまん:“日本で最も美しい村”の「ゆかり゚」村づくり – 多良間村長 伊良皆光夫氏(2)

Part2  知られていない、おいしいものを島から外へ

宮古島と石垣島の間に位置する多良間村は、多良間島と水納島の2島に約1200人が暮らす農業の村。最も高い八重山遠見台(ヤーマドゥーミ)で海抜32.8mという平坦な多良間島は、長い歴史を持つ「多良間黒糖」の産地だ。宮古空港から片道20分。1日2往復、50人乗りのプロペラ機が飛ぶ。 

空港から、見渡す限りのさとうきび畑を縫うように車を走らせること約10分。多良間村役場に、6月の選挙で2期目の当選を果たしたばかりの伊良皆光夫村長を訪ねた。本連載では全4回にわたり、多良間村における地域づくりの取り組みと成果をお伝えする。 

 

名高い「たらまピンダ」を第三の柱へ 

2016年11月の離島フェアで、1パック1500円のレトルトカレーが即日完売した。多良間島産のヤギを贅沢に使った「おくなわカレー 多良間島 ヤギ肉」は、多良間村が粟国村・渡名喜村・北大東村・南大東村とともに進める「おくなわプロジェクト」の一環として開発したもの。 

ヤギ肉がごろっと入った、おくなわカレー

ヤギ肉がごろっと入った、おくなわカレー

出典: 離島のいいもの沖縄セレクション 

「おくなわプロジェクト」は2010年度に沖縄県の「沖縄離島戦略的情報発信支援事業」としてスタートし、3カ年の事業終了後に5村が推進協議会を設立して引き継いでいる。交流人口が10000人以下の離島が協働してFacebookページを運用し、情報発信に取り組むことで知名度を向上。訪れる人を増やす狙いだ。 

ページにいいね!した人は34000人以上(2017年8月現在)

ページにいいね!した人は34000人以上(2017年8月現在)

出典: 沖縄離島ガイド・プロジェクトおくなわFacebookページ  

伊良皆村長は「『他では食べられないようなユニークで美味しいカレーを食べた』という体験を通して、島を知り、行きたいと思ってくれる人の輪が広がっていってほしいと考えています」と話す。 

「たらまピンダ」とは「多良間のヤギ」のこと。ヤギを食べる文化は沖縄県全域にあるが、中でも多良間は県内にいるヤギの1割前後が集まるヤギの島。全盛期はほとんどの家庭でヤギが飼われ、島の人口の2倍以上、4000頭いたといわれている。 

「ピンダ」は島の方言で、ヤギの意味 

「ピンダ」は島の方言で、ヤギの意味

「さとうきびの植え付けや収穫が終わると、『おつかれさん』という感じで1頭つぶし、滋養強壮に食べていました。ツノとツメ以外は、胃も腸も肝臓も、全部ヤギ汁になります。BSE問題が起きる前は脳みそも。さすがに胃袋の中に残った草は捨てますが、腸についた消化する途中の草の匂いが好きな人もいます」。 

ヤギの刺身は、しょうが醤油でいただく 

ヤギの刺身は、しょうが醤油でいただく

たらまピンダは、村長自身が「子ヤギのうちは愛らしくて抱きしめたくなるけれど、大きくなるにつれて食べ物に見えてくる」と言うほど、暮らしに深く根付いた島の食文化。伊良皆村長は、これを特産品に育て、多良間を「ヤギの島」としてブランド化することを目指す。 

島の宿「ペンションあだん」にて。沖縄本島などと違い、多良間のヤギ汁は味噌味 

島の宿「ペンションあだん」にて。沖縄本島などと違い、多良間のヤギ汁は味噌味

「今の供給能力には、島内で加工品をつくって販売する小商いが見合っていますが、1500頭ほどまで増やせれば沖縄本島のセリに出せる。ひとつの産業として島の経済の柱にできます。そこで、『たらまピンダ島興し事業』を立て、ヤギを養うことが農家の収入源になるような施策を打っています。飼っていなかった農家が飼い始める事例も出てきているので、次の調査が楽しみです」。 

ヤギ肉の生産やレトルトのヤギ汁などを製造販売する、たらま農産の知念正勝社長 

ヤギ肉の生産やレトルトのヤギ汁などを製造販売する、たらま農産の知念正勝社長

若手の挑戦が光る畜産業 

ヤギが新産業なら、島を支える基幹産業は牛とさとうきびだ。多良間村には、生後8ヶ月前後の子牛の生産で1億円近く稼ぎ出す畜産農家が2人いる。沖縄県では8カ所で和牛の子牛のせりが行われており、うち1カ所は多良間市場。すぐそばに宮古市場があるのにもかかわらず、山形県や宮崎県、静岡県の肥育農家が海を渡って参加する。平均価格は1頭50〜70万円で、2016年は計1215頭を出荷した。せりは年8回。過去に1頭150万円の値がついた子牛もいた。 

豊見城畜産の牛舎で、ミルクを飲む子牛 

豊見城畜産の牛舎で、ミルクを飲む子牛

150万円の子牛を育てた合同会社豊見城畜産の豊見城玄弘さんの牛舎では、100%多良間産の牧草を餌にして与えている。豊見城さんは、BSE問題で子牛に値がつかなくなった時期に、経産牛を肉用牛として肥育した。その味のよさがある経営者に見初められ、現在は「多良間牛」の名前で一部レストランなどに流通している。子牛の繁殖・育成にとどまらず、島で肥育・加工まで行えば高い付加価値がつき、収入増につながることを実感した豊見城さんは、一貫経営や6次産業化への展望を持つ。 

豊見城さん一家。左から2番目が玄弘さん 

豊見城さん一家。左から2番目が玄弘さん

豊見城さんは高校進学で島を出たが、大学卒業後は島に戻り、お父さんが始めた畜産業に就いた。現在は三代目となる息子さんが北海道の畜産高校に在学中。将来は島に戻り、家業を継ぐ予定だという。稼げる仕事があれば、島で生まれ育った若者が戻る希望を持てる好例といえるだろう。 

取材時は夏休み。娘さんたちも一日牛舎でお手伝い 

取材時は夏休み。娘さんたちも一日牛舎でお手伝い

「2016年12月現在、87戸が合計3220頭の牛を飼育し、2016年の1年間で約9億5000万円を稼ぎ出しました。高齢化が進んではいるものの、他の地域に比べて多良間の畜産はまだまだ元気。若い後継者も出てきていて、規模を大きくしたり、ドローンを使って牛の管理をするなど生産性を高める努力をされていますよ」と村長も注目する。村は優良繁殖雌牛自家保留奨励補助金、優良繁殖雌牛導入支援事業を設け、増頭を後押ししている。 

No.1生産地として、「沖縄黒糖」増産へ 

もうひとつの主力産業である沖縄黒糖では2014年、村内にあるすべてのさとうきび農家252戸が、化学肥料3割減の農家を対象とした「エコファーマー」認定証の交付を受けた。沖縄黒糖とは、さとうきびの絞り汁をそのまま煮沸濃縮し、加工しないで冷却したもの。伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島の8つの離島工場でのみで生産されており、全生産量の4割が多良間産だ。  

島を見渡せば、一面のさとうきび畑
出典: ピンダの島に行ってきました 

伊良皆村長は、「国内で需要が8000トンであるのに、近年は供給が7000トン台で推移していて、増産が望まれる状況です。4割を生産する多良間が担わなければ」と、さとうきびづくりの発展を見据え、80億円近い公費をかけて新工場を建設中。補助事業でのハーベスターやトラクター導入も行っている。 

「村内では、小規模から大規模まで、70歳代でも、元気な方は80歳でも。機械収穫という手段を使えば、それほど無理なくさとうきびを生産できます。毎年の単位面積あたりの収入は、県下で一二を争う好成績。土壌のよさに加えて、製糖工場で働く方たちが長年培い、継承してきた技術も、多良間黒糖の美味しさを支えています」と、約390年ともいわれる長い歴史に自信をにじませる。 

さとうきびと子牛というベースを守りながら、ヤギを第三の産業に育て、若者から高齢者まで生き生きと働ける島。利用率にして県全体の2倍にあたる8割の土地を農地として生かしている多良間村は、自然とともにある島の未来像を描いている。 

コメント

コメントを残す

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

INSTAGRAMおきコレ公式 インスタグラム

    • DOWNLOADおきコレ公式 アプリ

      きょうの沖縄がまるっとわかる!沖縄の情報・ニュースアプリ
    • FACEBOOKおきコレ公式 フェイスブック

    • TWITTERおきコレ公式ツイッター

    © おきコレ All rights reserved.