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離島 与那国島

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町長さんの島じまん:黒潮の源流で無二の歴史をたどる国境の島―与那国町長 外間守吉氏(3)

町長さんの島じまん:黒潮の源流で無二の歴史をたどる国境の島―与那国町長 外間守吉氏(3)

台湾との国境に位置する与那国島は、在来馬ヨナグニウマや海底遺跡で知られる人口1,700人の一島一町。2005年に就任し、8月の町長選で4期目の当選を果たした外間守吉町長に、島にしかない魅力や島の未来像を聞いた。 

 

Part.3 さいはての島 そのものを味わう観光 

 

「最西端」というオンリーワン 

新たな特産品の開発が進むいっぽうで、観光地としての与那国島にはユニークなコンテンツがそろう。たとえば、外間町長が「一番はやはり、みなさんご存知の海底遺跡です。遺跡なのか史跡なのか、まだまだ議論の余地があるようですが、謎に包まれた神秘が人の心を惹きつけます」と推すダイビングスポット。島の南側沖合100メートルに、100メートル×60メートルの巨大構造物が沈み、ダイバーは腰掛けたり内部を探検するなどして楽しむことができる。 

また、「日本人は端っこが好きな人が多いようですから、ここまで足を伸ばしていただけます」と話す「最西端」のさまざま。「日本最西端の碑」や「日本で最後に夕日が沈む丘」では、“さいはて”ならではの旅情が味わえる。 

「観光客数の目標値はありません 

統計に目を写すと、2016年、八重山観光の中心であり玄関口でもある石垣島には、140万人の観光客が訪れた。そんな中、与那国島への渡航者は4万人弱。町長はこの数字を、島の産業が観光業に偏るリスクに目を光らせながら静観している。 

「観光地としての人気、というのは一過性のブームで終わるリスクをはらんでいます。ブームが終わって閑古鳥が泣くようなことがないとも限らない。そのときに、農業をやめて観光に手を染めてしまった人がまた農業に戻れるか、ということを考えます。20年以上前に観光協会をつくっていますし、大切な産業として予算も投じてはいますが、こういった理由から、あえて観光客数の数値目標は持っていません(外間町長)」。 

観光客の数は、交通事情によるところが大きい、という見立てもある。現在、与那国島へのアクセスは、那覇空港からの航空便が1日1往復、石垣空港からの航空便が1日3往復、石垣島-与那国島間のフェリーが1週間に2往復となっている。「数年前まではボーイング737が飛んでいましたから、修学旅行など団体客の受け入れもできました。しかし今は、50人乗りのプロペラ機です。また、東京の人の旅先として考えると、交通費だけで10万円かかり、韓国のほうが安く行けるわけです。これを下げれば、観光客は増えると思いますよ」。 

「『石垣島と竹富島は行ったけど、与那国はまだだ』というふうに、後出しでこちらに来るようになるのではないか。自然と脚光を浴びるような状況になるのでは」と話す外間町長の言葉を裏付けるように、与那国島は自然美が光る景勝地に事欠かない。知る人ぞ知る異郷の雰囲気。観光ずれしていないその個性を、静かにじっくりと味わえる島だ。 

外周27キロ 集落と自然美をめぐる 

島の外周道路は約27キロで、1時間もあれば一周できる。町役場のある島でいちばん大きな祖納集落から東に進むと、まず海を望む高台に広がる浦野墓地群が見えてくる。水平線をバックに立派な亀甲墓が並び、墓地というよりもご先祖様が集って住むひとつの集落のよう。あの世との距離が近い、島の死生観が見て取れる。 

東の端まで進むと、断崖まで草原が広がり、灯台と大きな空を背景に野生のヨナグニウマが思い思いに草を食む光景が見られる。 

南下したところには、歴代の沖縄県知事が選挙の前に拝みに訪れてきたと言われる立神岩。透き通った海に屹立する彫刻のような巨岩を間近に眺める。 

そのまま南側の道路を走ると、島で一番小さな比川集落がある。集落のはずれ、比川浜を望む場所には2003年に放映されたドラマ「Dr.コトー診療所」の建物。家具や小道具までそのまま残されており、架空の世界に迷い込むことができる。 

さらに車を走らせると、西の端の漁師町 久部良集落にたどり着く。日本最西端の碑と夕日の見える丘は、久部良集落がもっとも近い。漁港を取り囲むようにして、宿泊施設や商店、釣りやダイビングのマリンサービスショップが並び、遊漁船を借り切って大物狙いのトローリングを楽しむ常連客が通う。台湾が見えるのもこの界隈だ。 

北側の道路に戻ると、ほどなくして左側に与那国空港、祖納集落に戻る直前で右折したところに、ティンダハナタがある。ティンダハナタは、祖納の町全体を守るようにしてそそり立つ崖の、くびれた部分から海と集落を見晴らせる自然の展望台。

 

岩陰からは湧き水が流れ出し、クバの木漏れ日とあいまって、ひんやりと清らかな空気が流れる。

世界最大の蛾「ヨナグニサン」と花酒 

与那国島には、外周道路だけでなく、宇良部岳と与那国岳の森林地帯に分け入る筋道も多く走る。宇良部岳の森の中には、世界最大の蛾「ヨナグニサン」の学習施設アヤミハビル館がある。ヨナグニサンは翅の開張が18~24センチある世界最大の蛾。石垣島や西表島にも生息しているが、与那国島で発見され、主な生息地であることから、ヨナグニの名を冠している。特定の地域に大型の蛾が多産することは学術上価値が高く、与那国島全域が保護地区となっているほか、沖縄県指定天然記念物となっている。 

アヤミハビル館のすぐそばには、島に2つの酒造所のひとつ「国泉泡盛合名会社」がある。直売所を併設した工場では島酒「どなん」がつくられている。どなんの由来は、与那国島そのものが「渡難(どなん)」と呼ばれていた史実。もうひとつの酒造所「崎元酒造」とともに、花酒と呼ばれるアルコール度数60度の泡盛を製造する。酒税法上、泡盛の度数は45度までと決められており、60度だと「原料用アルコール」の扱いになる。しかし、与那国島では60度の泡盛が文化に深く根付いていることから、特例として「花酒」の名称が認められているのだ。 

「新しい打ち出しとして可能性を感じているのは、ヨナグニウマです。日本の在来馬は5種類しかいなくて、そのうちの1種類がヨナグニウマなんですね。馬というのは、見て育てて触って関わると、非常に心にいいらしいです。癒しができるヨナグニウマ、というイメージを、もっと広めていきたい」。外間町長が注目するヨナグニウマとのふれ合いは、ヨナグニウマふれあい牧場や与那国馬風(う)牧場が提供している。馬に乗ったまま海に入ったり、天の川の下や崖の上の草原を歩くなど、島の自然とかけ合わせたユニークなプログラム多数。昼間のツアーでファンになり、そのまま夜のツアーも申し込む女性客もいるそうだ。 

「沖縄の18市町村に離島がありますけれども、与那国島が、自然が一番きれいな島だと思っています」と胸をはる外間町長。観光客の動向に一喜一憂せず、じっとかまえるスタンスからは、天賦の自然美と、国境と黒潮という無二のロケーション、それらに寄り添って継承されてきた島の文化を守ることが、島らしさ、ひいては旅先としての魅力を保つことにつながる、という信念が透けて見える。 

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